家族は心のふるさと

いつも、背中をしゃんと伸ばして座っているお年寄りが、少し不安そうな表情でこちらを見ていた。
どうしたのかなと思って近くへ行くと、お年寄りから手を伸ばして、ぎゅっと手を握ってきた。

 

何だか、いつもと違う。

 

そして、

 

「だみだ(だめだ)、だみだ(だめだ)」と、背中を丸めてうつむきながら、小さな声で繰り返している。
あら、鼻先が赤くなっている、おでこも温かい。

 

認知症のあるお年寄り、
熱があるみたいだよ、とか
体がダルいよと、言葉に出来ないけれど、伝えてくれている。

 

1年、2年、3年…毎日のように、朝の挨拶をしたり、食事時に顔を合わせてきたら、6年たっていた。

 

認知症のあるお年寄りは、わたしの顔も名前もあっという間に忘れてしまう。
でも、何だか覚えてもらえていると感じるときがある。
何となく、声とか雰囲気を覚えているのかな。

 

はじめましての不安そうな表情から、時間がたって、
あっ、みたことある人が来た!
って感じが伝わってくる。
ちょっと、隣に座って、お茶飲んでいきなさいよと声をかけてもらうことがある。

 

もっと、嬉しいのは、家族が来たときです。
息子さんや娘さんの顔を優しい表情で見つめていたり、お孫さんや玄孫さんが来たときは、
もう可愛くてたまらないのでしょうね、目尻が下がりっぱなし。
家族って良いな、やっぱり家族だ、お年寄りの表情が全然違うのです。
人の原点を見せてもらっている。

 

家族は心のふるさとですね。

 

私自身、療養生活中は、家族へ不安や不満を吐露したけれど、家族に優しくしてもらいたかった。
あの頃、とってもしんどかったから、仕方ない。
支えてもらったこと、今は感謝するばかりだ。

 

12月になり、年末年始が近くなってくると、離れて暮らす家族に会いたくなります。
当たり前に家族に会える、今の幸せな時間を大切にしたいです。

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