お年寄り

お年寄りと喫茶店

職場の老人ホームは、ひと月にいちど、喫茶の日があります

市内のボランティアの方達と、パン屋さんが参加してくださり、その日は、1日にぎやかになります

喫茶の日を、毎月楽しみにしているお年寄りも多いです

しかしながら、多くの認知症のある方達は、忘れています
その日、その場、その時を楽しんでくださいます

今日は喫茶の日ですよ
美味しいコーヒーや甘酒を飲みに行きましょうと、お誘いすると、たいがいの方は、何のことやら、とりあえず行ってみましょうとなります

中には、お誘いが難しいお年寄りもいます

わからないから、行きたくないとか、ここにいるのがいいと言って、かえって不機嫌にさせてしまうこともあります

でも、せっかくだから、と言うよりは、一緒に楽しみたいから、何とか、かんとかお誘いします

今月お誘いしたお年寄りも、お誘いするのが、難しくて、あまり参加されていない方でした

以前、いちど車椅子を押して参加してみたけれど、喫茶店のにぎやかな様子に驚いて、不安そうにさせてしまい、直ぐに元の場所へ帰りました

それから、何日、何ヶ月かの間、信頼関係をつくろうと思いました
ちょくちょく、世間話をしにいきました
覚えてもらえたなぁと言う実感が出て来ていました
今月は良いかもしれないと思って、お出掛けしましょうと尋ねると、嫌がる感じはありませんでした
車椅子を押して、一緒に喫茶店へ行ってみました

前とは違って、穏やかなお顔で、いろいろお話しをしてくれました
窓の外を指さして、山かえ?と言ったり
隣り合わせた、お年寄りへも挨拶したり、良い時間を過ごしました

目を合わせてお話しすると、いつもはスッと目をそらされてしまうけれど、喫茶店では、じっとそのまま、お話しをしてくださいました

97歳になられる方です
今は認知症の診断がありますが、昔は、とても働き者なお母さんだったと聞きます

あなたも、背筋をしゃんとして生きなさいよ、と言われている気がして、お年寄りとの会話が、私は励みになります

暑くなったり、肌寒かったり、気温差が気になる日々ですが、背筋をしゃんとして、体調よく生活したいものです

私は誰なのだろう

富山生まれのお年寄りがいる
施設に来る前、がん治療の後遺症で髪が生えなくなったという
数年前、転んで骨折して入院した、しばらくは脚を痛がっていた

けれども、90代半ばになり、この頃、元気になっている

今も、富山で暮らしている話をしてくれる
朝、昼、夕方と、挨拶に行くと、日に日に顔見知りになった

硬かった表情が、今は、笑顔で迎え入れてくれる

こちらのお年寄りにとって、わたしは誰なんだろうなぁ
ご近所さん親戚友達
こんなに笑顔になって、お話しが止まらなくなる

こうして、こうして、こうやったらええと思うとか、遅かったねぇとか、
ご飯食べて行きなさいとか、畑の心配をしたり、いろいろ話してくれる
きっと、私の登場人物設定は、コロコロ変わっているのだろう

認知症のこの方、嫌なことは嫌だと怒る
楽しくなると、あははと笑う
カメラを構えると、優しくほほ笑む
とても素敵なお年寄りです

介護の勉強をしてきた人は、認知症とは、こういうものと、理解して上手に話している
スゴいなぁと感心する
わたしは、そういう基本がないけれど、癒やし、癒やされるといいなぁと思う

お話しが出来るお年寄りは、食べものを細かくすり潰さなくても、割と普通のご飯が食べられる

笑顔に会えて、おしゃべりをして、そんな時間がありがたくて、
こんな言い訳をして、お年寄りとの時間を楽しんでいる

その為には、私も元気にしてなくちゃと、毎日の生活に張りがでる

そして、今日も話に花が咲くと、ホッと安心している

少し前、看取りのお年寄りが終わりをむかえた
看取りが終わるとき、お年寄りの命の終わりを示す
何度も経験してきたけれど、いろいろあって、終わると喪失感と張り詰めていたものからの解放がある
葛藤や緊張が解け、眠りこけて充電する時間が必要になる時がある

穏やかな変わらない毎日と、看取りのお年寄りがいるとき、同じような感覚で過ごすことは難しい

だからこそ、日々、身体と心を整えて、楽しみながら生活していきたい